糊付け
糊付けは、経糸準備の一工程として、整経する前の経糸に糊を付ける工程です。
整経後の経糸にまとめて糊を付けるスラッシャ・サイジングに較べると、次のような点を特徴として挙げることが出来ます。
- 糸が少量でも糊を付けることが出来る
- 手間が掛る
- 糸のロスが少ない
- 素材に合わせた糊を付けることが出来る
- 緯糸にも糊を付けることが出来る
スラッシャ・サイジングでは、経糸の中に別の素材が混っていても、違う糊を付けることは出来ません。また、スラッシャ・サイジングでは糊を付けることが出来ない特殊な素材もあります。
大ロットの糊付けには向きませんが、スラッシャ・サイジングには無い長所も沢山ある訳です。
方法としては、綛(かせ)糊付けとチーズ・サイジングがあります。チーズ・サイジングは、「一本糊付け」とも呼ばれます。
藤岡糊付所で行っている糊付けは、この綛糊付けとチーズ・サイジング(一本糊付け)です。
綛(かせ)糊付け
綛(かせ)糊付けは、糸を綛(かせ)の状態にして糊を付ける方法です。
昔ながらの方法であり、手作業が中心になります。
とは言っても、写真のように、省力化のために機械は使います。
この後、絞って余分な糊を落し、脱水機(奥に見えている丸い機械)に入れて水分を取り、手作業で糸を捌いた後、竿(さお)にかけて天日乾燥します。
この他に、前工程として、染色チーズに巻かれた糸から綛を作る「綛取り」、後工程として、綛糸をコーンに巻き取る「綛繰り」が必要になります。
チーズ・サイジング(一本糊付け)
チーズ・サイジング(一本糊付け)は、チーズ状態の糸に糊を付ける方法です。
下の写真のようなチーズ・サイザーという機械を使用します。
上部にチーズをセットし、糸を機械の中に引き込みます。すると、内部で糊付けと乾燥が連続的に行われて、下の方に置かれたコーンに自動的に巻き取られるという仕組みです。
チーズ・サイジング(一本糊付け)の将来性
チーズ・サイジング(一本糊付け)は以前から行われていた糊付方法でしたが、数年前より、需要が高まってきました。
高品質な糊付けが可能であること、そして、小ロット多品種生産に対応できることがその理由です。また、播州織産地では、綛(かせ)糊付に必要な綛(かせ)の供給が大変困難になってきたという事情もあります。
チーズ・サイジング(一本糊付け)には、主として、サンプル生地生産のための小ロット・短納期対応が求められています。さらに、他産地の製品(麻・フィラメント・ウールなど)を播州織の中に取り込むための技術的な研究においても、チーズ・サイジングが果たす役割は大きくなっています。
藤岡糊付所では10数年前より、サイジング業者や商社・準備関係とノウハウのやり取りを重ねて、技術を磨いてきました。現在では、チーズ・サイジング(一本糊付け)が藤岡糊付所の主力となっています。
今後益々、需要が期待され、鋭意努力を重ねているところです。