製織
織物生産の中心となるのが、織機を使って織物を織る製織工程です。
織機の種類
織機は、緯糸を通す仕組みの違いによって、以下のように分類することが出来ます。
- シャトル織機
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杼(ひ、シャトル)の往復運動によって緯糸を通す織機。
伝統的な形式の織機であり、「力織機」とも呼ばれる。
- レピア織機
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レピア(槍)と呼ばれる細長い金属の棒または薄板を使って緯糸を通す織機。
- ジェット織機
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空気や水の噴射(ジェット)で緯糸を通す織機。
空気を使うものをエアジェット織機、水を使うものをウォータージェット織機と呼ぶ。
レピア織機やジェット織機をまとめてシャトル・レス(無杼)織機と呼ぶこともあります。
後のものほど、高速運転が出来ます。
シャトル・レス織機では、緯糸が通される方向は一方通行(通常は左から右)に固定されています。緯糸は、織機の左側にチーズに巻かれたままでセットされ、レピアやジェットで右端まで通されます。そして、緯糸は、一段通されるたびに、左側の端っこで切断されます。シャトル織機のように往復はしません。
そのため、シャトル・レス織機で織った生地は、下の図のように、両端に「耳」と呼ばれる部分が出来ません。
シャトル織機
下の写真は、シャトル織機です。
撮影のために、運転を止めてもらっていますが、このように、経糸の開口部にシャトルが入って行きます。
そして、次のビデオは、実際に動いているシャトル織機の映像です。
両側にシャトルを打ち飛ばす装置が付いています。そして、左側には、シャトルを何個か格納する装置があり、上下に動いて打ち出すシャトルを替えて、緯糸の色を変化させています。
エアジェット織機
エアジェット織機のビデオです。シャトル織機との速さの違いを実感してください。
開口装置による分類
さらに、織機は、経糸を上下に分ける仕組み(開口装置)の違いによって、以下のように分類することも出来ます。
- タペット織機
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カムとタペットとによって綜絖(そうこう)を上下運動させる織機。
綜絖枚数は8枚程度まで。
- ドビー織機
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ドビー装置によって綜絖を上下運動させる織機。
綜絖枚数は、通常、16枚程度。
- ジャカード織機
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ジャカード装置によって、経糸を一本づつ上下させることが出来る織機。
後のものほど、経糸を上下に分けるときの自由度が高くなりますので、複雑な組織の織物を織ることが出来るようになります。そして、その分だけ、装置の価格は高価になります。
現在では、開口装置は織機本体とは別のメーカーから購入して、組み合わせて使う場合がほとんどです。例えば、「豊田のエアジェットにストーブリの電子ドビーを載せる」などという具合です。
取材協力
シャトル織機の写真は、兵庫県多可郡多可町八千代区 岸忠織布、ビデオは多可町中区門前 土田織布で撮影しました。
エアジェット織機のビデオは、多可町八千代区 藤一織物です。
ご協力を感謝します。