先染織物と後染織物
糸の段階で色を染めてから織るものを先染(さきぞめ)織物と言います。これに対して、織った後で色や柄を染めるものを後染(あとぞめ)織物と言います。
先染織物
左側の写真は、先染織物の拡大写真です。糸の一本一本に色が付いており、経糸の色と緯糸の色が交互に見えているのが分ります。
単に「織物」という場合は、この先染織物を意味する場合が多いようです。
後染織物
右側は、後染織物の拡大写真です。経糸と緯糸に関係なく、べったりと平面的に色が染められているのが分ります。
後染織物は、先染織物と区別して、「染め物」と呼んだり、「プリント」と呼んだりします。
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藤岡糊付所で糊を付ける糸は、所在地が「播州織」という先染織物の産地であることもあって、たいていは染められた糸です。
これから説明する生産工程も、主として先染織物、さらに詳しく言うと、綿・麻・ポリエステルなど、播州織で主体となっている短繊維の先染織物を念頭に置いたものです。
同じ織物でも、後染織物や、他産地の先染織物(岐阜・愛知の毛織物や、北陸の長繊維の織物)では、生産工程がかなり違います。その点はご了承下さい。